
The book of Josef et Anni Albers, whose exhibition held at Musée d'Art Moderne de Paris 2021
The book of Josef et Anni Albers, whose exhibition held at Musée d'Art Moderne de Paris 2021
1986年駒形克己により設立。グラフィックデザイン全般。本の制作・出版。商品開発。日本国内、世界各地で行われるワークショップ活動、展示プロデュースなど。1994年より世界各地を巡回している「1,2,3...KOMAGATA」展の開催や、毎年春に開催されるボローニャ国際児童図書展での、ブース「SMALL WORLD」の出展など。NY ADC銀賞、ラガッツィ賞、グッドデザイン賞(積み木)、グッドデザイン賞・ユニバーサルデザイン大賞、 ドミュメンタリー番組「触れる 感じる 壊れる絵本 ~造本作家・駒形克己の挑戦~」がWOWOWプライムにて放送され国際エミー賞にノミネート 他

小さなデザイン 駒形克己展・キュレーション:松岡希代子、展示プロデュース:ブルーシープ、グラフィックデザイン:柿木原政広
駒形克己は「Little Eyes」「Little Tree」などの絵本で国際的に注目を集める造本作家/デザイナーです。日本デザインセンターで初期のキャリアをスタートし、1976年から1983年にかけて二度に渡り渡米、ニューヨークではグラフィックデザイナーとして活躍します。「狭い道を歩きなさい」。20代に、師と仰ぐ永井一正から受けた言葉を守るかのように、駒形は今日まで一貫して独自の道を歩んできました。大切にしてきたのは「小さなこと」。招待状や絵本など、手の中に収まる小さなサイズを好み、デザインや絵本作りではクライアントや読者など、少数の人々と関係性を築き、作品を生み出しています。(小さなデザイン 駒形克己展、図録より抜粋)
現場からうまれる
デザインは「つくる」というよりも、むしろ「うまれる」ものだと私たちは考えます。常に対象者と向き合うことで、彼ら(クライアント)の畑(フィールド)を共有し、共に耕し問題提議をする、そこから芽吹くものが発想となりデザインとなります。まず現場に赴きそして問題を察知。それがデザインの第一歩となります。

九州大学病院小児医療センター
工事半ばの病院内で目にしたのは、どの方角を見ても同じ景色に見えてしまい迷子になった気分になりました。『子どもたちが安心して過ごせるように』と、当時病院長に就任した水田祥代先生の思いからスタートしたプロジェクトでしたが、まずこの問題に直面。そこで、4つの廊下にある手すりの色をブルーやレッド、ベージュ、グリーンなどの色に分けることで、廊下の配置を分かりやすくし、さらに「ぶどう通り」「いちご通り」「つくし通り」「おりーぶ通り」と、色にちなんだ名前をつけました。それは例えば「ぶどう通り623号室」となり、病院内に住所が生まれたのです。また、プレゼンテーションの際に『森のお医者さん』という絵本を制作、病院のグラフィックと絵本をリンクさせました。子どもたちが絵本を手に、壁面にある絵と対面しながら、しだいに病院生活に慣れ親しめる、そんな配慮から生まれた絵本でした。サイズをあえて小さく、お医者さんや看護師さんの白衣のポケットに収まるようにしています。
再生
3つのデザイン
1: Updated
2: Right on target
3: Far out
デザインを提案する際に常に意識することに「3つのデザイン」があります。一つ目は、これまでのデザインをひき継ぎ、これまで成功している部分を尊重しながらデザインを更新する、Updated Design。二つ目は、ターゲットに的確にヒットするデザイン、Right on target Design。そして三つ目は、将来を見据え一歩先行くデザイン、Far out Design。デザインには、こうした時間軸を取り入れていくことは絶えず求められています。

リニューアル前
クレヨンハウス
絵本を主に、自然食品やオーガニック衣料などを幅広く展開しているクレヨンハウス。店舗のオープン以来キャラクターとして活躍してきたクーヨンをモチーフに、これまでのイメージを残しつつ、リデザイン。手書きだったキャラクターをよりシンプルに整理し、異なる大きさのふたつの目をそれぞれ月と太陽に見立て、月が太陽に憧れるという設定から、鼻をハートの形にしています。

リニューアル後
植村冒険館
すでに以前に制作された施設ロゴはありましたが、館の移築に伴い新たにシンボルを制作。親近感があり長く使われるような、そんなロゴを模索していく中で、UEMURA ADVENTURE MUSEUMのUとMの文字に着目し、植村直己さんがいつも一緒に行動してきた犬ぞりの犬の姿に見立てています。
問題解決
1980年代初頭のニューヨーク時代、CBS、シェクターグループで経験したデザインは、問題解決そのものでした。単一言語の日本とは異なり、ニューヨークは人種のるつぼ。さまざまな言語と文化、そして人種が混在している社会で、言葉を超える視覚言語がコミュニケーションにおける重要なメタファーになります。例えば星の形は言語を超え世界的に認識され、また国連のシンボルの鳩は、ノアの方舟の着想からピカソによって描かれ、平和のシンボルそのものに定着しています。視覚的な手法による問題解決は社会的な側面にも効用します。今の時代、若者の間ではアイコンが重用され言葉以上の効力を発揮します。例えばCI計画に伴う企業や組織のロゴは、その活用によっては最小で最大の広告になります。成功しているものは、時代に合わせゆっくりデザインを更新する必要がありますが、そうでない場合には、大胆に変えることも新たなチャンスを創出します。

zucca
デザイナー小野塚秋良さんが立ち上げた新しいファッションブランド、ZUCCA。一枚の農婦の写真を手に、働く女性に向けた服づくりをしていきたい、とロゴデザインの依頼がありました。この写真からのイメージをロゴに定着していく上で、まず文字の並びに着目。そしてすべて大文字での並びでは、最初と最後のZとAのエッジが立ち過ぎ、カジュアルな表現の障害になると思い、Aのみを小文字にし、aの天地を他とそろえる調整をしています。
